STORY
自分の家庭は幸せだ、と思っていた高校二年生の森田萩。しかし父親の芳郎にはもう一つの家があった。「萩に手伝ってもらわなきゃいけないことがある」芳郎の頼みで、萩は父親が不倫相手の向井瞳子と別れるのを手伝うことに。自分の家と瞳子さんの家、二つの家を行き来するようになった萩は段々と大人の事情に気づいていく……。
自分の家庭は幸せだ、と思っていた高校二年生の森田萩。しかし父親の芳郎にはもう一つの家があった。「萩に手伝ってもらわなきゃいけないことがある」芳郎の頼みで、萩は父親が不倫相手の向井瞳子と別れるのを手伝うことに。自分の家と瞳子さんの家、二つの家を行き来するようになった萩は段々と大人の事情に気づいていく……。
森田 萩
望月 歩
向井 瞳子
大谷 麻衣
森田 芳郎
生津 徹
千葉 利峰
でんでん
森田 奈保子
南久松 真奈
森田 芽衣
円井 わん
成瀬 みなみ
植田 まひる
斉藤 英治
小日向 星一
いつも”どうしようもない事”を描きたいと思っています。答えがあるようでない。実は誰も悪くないのかもしれないし、誰もが悪いのかもしれない。そういう人と人の間で起こる”どうしようもない事”に翻弄される、本作の登場人物達の姿をぜひ見て頂けたらと願っています。
監督
西川達郎
大人が自分と同じように失敗したり悩んだりしている姿をみてちょっと近く感じた時、私たちは「大人」になるんだろうか。皆が違う形で通過する大人の洗礼。これも一つの形、みんな人間だもの。笑って下さい!
プロデューサー
関口海音
自分が書いた作品の中で最も多くの方に助言を求めた作品です。おかげで素敵な世界が出来たと思います。毎日一緒に過ごす家族でさえ秘密の世界を持っているのです、きっと。萩くんと一緒に大人を覗いてみてください。
脚本
川原杏奈
逗子の魅力に心奪われる映画です。幻想と現実、神隠しのフォークロア類型に通じる成長と葛藤の物語。儚さと力強さを感じます。
撮影
袮津尚輝
ロケセットでの限られた照明でしたが、逗子の自然や建物の良さを邪魔しないナチュラルなライティングを目指しました。
照明
小海祈
見てる人が住みたいと思う家を作って欲しい。そう言われて始まりました。色んな人に助けられて作る事が出来ました。萩と一緒に瞳子さんの家に転がり込んで、そこに流れる時間を一緒に過ごして貰えたら嬉しいです。
美術
古屋ひな子
2つの家の雰囲気の差、音の違いからもお楽しみください。
サウンドデザイン
三好悠介
想像を超えるもう一つのお家の存在です。この少年の成長を見守りながらお楽しみ下さい。
編集
王晶晶
人間模様の隙目を吹き抜ける『やさしい風』のような音楽であればと思っています。録音に協力してくれた、ギターリストの山田唯雄君に心から感謝いたします。
音楽
大橋征人
夏のある日、男子高校生が訪れた坂の上の一軒家には、妖艶な美女が囲われていた…というあまりにも危険な匂いのする設定から映画は始まる。しかし、これは決して単純な“ひと夏の経験もの”ではない。奇妙な学友たち、どこかネジの外れた家族、見るからに胡散臭い釣り人…といった人々の登場によって、物語はじわりと常軌を逸していく。西川のストーリーテリングは実にしたたかと言っていいだろう。
黒沢清
(映画監督)
ここではむしろ、見せかけの世界、演じられる家族、非現実的な演技というも のが積極的に取り入れられて、喜劇的な呑気さとともに小さな世界が形作られ てゆく。しかし、「よく話すことで、互いをよく理解できる」という母親の価値 観に牛耳られている家族世界とパラレルに、父親によってもうひとつの家が作 り出されていることが発覚する。世界から遊離したような高台にへばりつく「変な家」に暮らす女の暮らしは、長男ハギの見せかけの世界を決定的に崩壊させ るのだが、地に足のついた女の暮らしが、逆に彼の世界を再生してゆく。登場 人物ひとりひとりの世界は実は断絶しており、みながバラバラの世界を生きて いるのであるが、映画は誰かを告発することも、否定することも、利用するこ ともなく、救いのない世界を深刻に嘆くわけでもなく、彼ら全ての人に生起す る感情を肯定しようとする。やがて女とともに向こうの家も消え去り、ハギの 唯一の世界との繋がりも失われるのだろうか。いや、それでも海は輝いている。 この薄っぺらな世界を生きる術はまだある、という強い意志がこの喜劇を輝か せている。
諏訪 敦彦
(映画監督)
家族・友達・恋人って10代の頃の三大日常を見事に切り取っている。 80年代を思い出させる、どこか懐かしく、どこか痛い思春期の物語。
内田 英治
(映画監督)
ホント、この手は苦手なはずなのに、最後までニヤニヤ見ちゃった。普遍的で、絵作りも落ち着いてるけど、ちょっと破城してるホームドラマ。お話が、建前じゃないのがよかった。瞳子(トウコ)さん、気になる。
カンパニー松尾
(AV監督・映画監督)
20代にしてこの映画をしっかりと撮った西川達郎監督の眼差しは「家族」とは何か?を静かに問い続ける。また、家族とは別の関係性を望月歩と大谷麻衣が見事に演じている。若き才能たちによる今観るべき傑作である。
森谷雄
(プロデューサー・映画監督)
思い返せば、あのときがあの人に会えた最後だった。顔を思い出そうとすると滲んでしまう。それがたとえ叶わなくても、二度と会えないあの人の姿を残すために映画はあると『向こうの家』は教えてくれる。
杉田 協士
(映画監督)
不登校に父親の不倫発覚、愛人に立ち退きを迫る任務など、穏やかでないはずの毎日が、高校生萩くんの類まれなるのんびり力で、ことは進まず優しい時間が広がる。高台の家に、海辺の散歩、一日サボって好きに歩いたような爽快さを作品から感じた。
衿沢 世衣子
(漫画家)
瞳子の家は丘の上にある。そこには気ままな暮らしがあり、悠々な時の流れもある。天界のごとき丘の上からは下界の街や海を見下ろせるが、険しい石段を登らないと瞳子には会えない。つまり、なかなか手の届かない存在のようなのだ。少年は父親の不倫相手である瞳子に絆され、信頼し、やがてふたりは疑似家族のような奇妙な関係を育んでゆく。寛容さは優しさを生み、現代社会の渇きを潤すのだ。
松崎 健夫
(映画評論家)
理想と現実のギャップに慄いても、それを咀嚼したり納得させて貰えるだけの時間は中々与えて貰えない。割り切るか、受け流すことでしかやり過ごせない。だけど、誰もがそんなに器用じゃない。時間をかけないと乗り越えられないことが、世間はそれを良しとしないけど、人生のズル休みや寄り道をしないと気が付けないこともある。そんな不器用で面倒で愛おしい人達の心の機微に胸打たれた。
ミヤザキタケル
(映画アドバイザー)
高2の夏の終わり。ボクが訪ねたのは、海辺の街の高台に佇む、父の愛人が暮らす、“向こうの家”…。古い構えの既視感ある物語なのだが、今どきの男の子の成長を軸に、今どきの親子・家族関係まで、巧みな語り口で見せる。監督の西川達郎、ただ者じゃないね。
松崎 まこと
(映画活動家・放送作家)
向こうの家、太陽に輝く海、年上の女(大谷麻衣)、不思議な釣り人・・・そんな少年(望月歩)の一夏。だが、その夏が終っても少年を日常には帰らせない。非日常は、さらに非日常を生む。けれども、それもまた日常であるという普遍的なことをきちんと示してくれる。それも涼やかに。そうね。続いていくのだよな、こんな風に。しかし、いい家だったなあ。「向こうの家」。
三島 有紀子
(映画監督)
悔しい。見たことないくらい清々しく、でも嫌になる映画。女も男も子どももみんなで観たらいい。勢いよい展開のせいで全員愛しい人物として心に残るから不思議。あの、あの父の娘がいつか伴侶に選ぶ相手が観たくてたまらないし続きと新作が気になる監督である。
片岡 礼子
(俳優)
日常にはたくさんの素敵なできごとが溢れてる。 そのひとつひとつを少しでもみつけることができれば、哀しい出来事さえもときどき大事に思えてくる。 アニメみたいな優しさに包まれた映画。 萩はきっと、素敵な大人になるんだろう。
池田 大
(俳優)
"向こうの家"という存在は、人生の秘密基地だ。 善悪では語れず、さらに希望絶望とも言い難い不可思議な出来事は、わたしたちの日常に度々訪れる。 高校二年生になった今もなお自転車に乗れないハギくんと、艶かしさを少女の様なチャーミングさで纏ったトウコさん。 ゆっくりと流れる時間の中で確かに変わりはじめているそれぞれの関係性は、季節の移ろいの様に眩して残酷で力強くて愛おしい。
上村 奈帆
(映画監督/脚本家)
不条理で不公平な世の中に、優しく問いかけるひと夏の物語。ユーモアとノスタルジーの中に込めた西川監督の想いが、一人でも多くに届くことを強く願います。
林 健太郎
(プロデューサー)
当たり前だが、人間は一枚の紙切れのようにペラペラではない。多面をもって立体を為している。何面もの顔を、私たちは日々使い分け生きている。だから私の知っているあの子は、他では全く違うだろうし同じように私もあの子に見せていない面がある。表と裏、というと善悪の二択のようになってしまうが人間はもっと複雑で難しくてわかりあえない。だけど、だから、面白いし知りたいと思う。この映画はそんな「たくさんの面」をこっち側と向こう側からゆっくりと優しく見守っている。
枝 優花
(映画監督)
自分の思う普通のことができなくても、気がついたら普通ではないことができていることがある。私も向こうの家に飛びこんでみたいと思った。ほんのり異様でポップな登場人物たちが独特でキュートでした。
村田 唯
(俳優/映画監督)